保存会の経過
野口英世ゆかりの細菌検査室の保存

「野口博士ゆかりの細菌検査室」との邂逅は1979年の8月某日。
あぶら蝉の鳴く暑い昼下がりでした。
懇願して、上司の許可を得た守衛さんに横浜検疫所・長浜措置場内を奥深く案内されました。「細菌検査室」は深い緑の木立に囲まれ、ひっそりと佇んでいました。
屋根、外壁はもとよりガラス窓など荒れ放題。一見して資産価値のない荒れ果てた木造の建物ではありますが、ここぞ「世界的細菌学者・野口英世ゆかりの施設」と思いを新たにすると、“何か行動を起こさねば”という衝動を禁じえませんでした。
18年間にわたる保存運動はここから始まります。

 (中略)

活動の足取りを、節目ごとに写真や新聞記事でご披露することとします。
この保存運動は決して平坦な道ではなく、多くの障壁に直面しました。
時には“猪突猛進”との批判を受けながらも「保存への情熱」が前に押し出してくれました。
幸い、協力者や支援者の輪が全国ネットで拡大していきました。
1997年5月22日、長浜・野口記念公園が開園、開館することによってこの「保存運動」は成功裡に完結したといえます。
それには、関わりあった行政の諸官公庁による恩恵を受けました。
深いご理解を示された旧厚生省と大蔵省、国から施設を有償で払い受け、「長浜・野口記念公園」を新設し、ここに「細菌検査室」を重要施設と位置づけて保存していただいた横浜市に深く感謝の意を表します。

小暮葉満子 編著 「今ふたたび野口英世」から抜粋